塾にとって退塾は悲しい。でも退塾は引き止めないし、くつがえさない。その理由とは?

こんにちは。やすひろです。

退塾とは
退塾とは生徒が塾をやめること。退会という塾もあります。

塾講師にとって、退塾はとてもつらいです。

しかし、どれだけ素晴らしい塾や塾講師でも、生徒の退塾は避けられません。

20年以上塾講師をしているわたしは、これまでかなり多くの退塾を経験しました。

今回は、生徒の退塾についてわたしの考えをお話します

退塾しますと言われたら

わたしは、家庭から退塾しますと連絡があったとき、決まり事としているのは

  • 引き止めない
  • くつがえそうとしない

この2つです。

わたしは退塾しますという連絡があったとき、「わかりました」と素直に了承します。

なぜ、わたしはこの決まり事に従って行動しているのかを説明します。

引き止めない

家庭や生徒から退塾の申し出があったときわたしは決して引き止めません。

その代わりに第一声で「これまで通ってくださり、ありがとうございました」と感謝を伝えます。

何かしらの理由・事情があるから退塾をするのです。

家庭や生徒が決定し、われわれ塾にその事実を伝えているだけなのです。

はっきり言って、引き止めるのは失礼です

どう思いますか?

「別れよう」と彼女に言われているのに「嫌だ、嫌だ、嫌だ」と抵抗している彼氏を見たらどう思いますか?

わたしにとって退塾を引きとめるのはその彼氏と同じイメージです。

家庭や生徒の気持ちはもうすでに決まっているのです。

きっぱりと受け入れてその子の未来を願いましょう。

くつがえそうとしない

「本当にこのままでいいのか?」「ほかの塾に行っても・・・?」などと言って、退塾の申し出をくつがえそうとする教師もいます。

塾講師の話を聞いて、家庭や生徒が説得されて退塾をくつがえす場合もあるようです。

その可能性に欠けるべきでは?と思われるかもしれませんが、わたしは絶対にしません。

なぜなら、それは延命措置にしかならないから。

少し別の例ですが、わたしは数回転職した経験があります。

「辞めます」と伝えるとたいていはくつがえされました。

でも、今その塾にはいません。

本人が「辞める」と一度でも他人に伝えたら最終的には「辞める」のです。

退塾をくつがえされたことによって、前向きに大きく変化することもありますが、極めて稀です。

大半は「辞めたかったのに」というオーラをより強く感じます。

実際にわたしもそうでしたから。

退塾を受けつけない理由

家庭や生徒から退塾の申し出があったとき、すべての塾がわたしのように素直に受け付けてくれるわけではありません。

家庭や生徒も真剣に考えて、退塾するという結論に達したにもかかわらずです。

塾はなぜ退塾を素直に受け付けてくれないのでしょうか?

生徒数を気にしすぎる

わたしは、塾ではたらいていて疑問に思っていることがあります。

それは、生徒数を気にしすぎるということ。

退塾すると生徒数は減ります。塾はそれを最も嫌うのです。

例えば、5人入塾して5人退塾したとしましょう。

生徒数は変わらないのですが、より注目されるのは5人の退塾。

もし、5人入塾していなかったら、生徒数は5人減っていたと言われるかもしれません。

塾の多くは、生徒が増えることより減ることを極端に嫌う傾向にあります。

上司に責められる

塾が退塾を素直に受け付けてくれないもう1つの理由が、上司に責められるからです。

教室で退塾が発生したとき、上司に報告する必要があります。

報告先が退塾を嫌う上司だった場合、報告者は上司に責められるでしょう。

だから、退塾を引き止めたり、くつがえそうとしたりするのです。

でも、その塾講師には同情の余地があります。

誰だって、不当に責められたくない。それは塾講師も同じです。

だから、すべての上司には「退塾を責めない」と誓ってほしい。

その講師が適当な対応をして退塾になったのなら責めるのもわかりますが、そんなことはほぼありえません。

どの塾講師も生徒のために必死に対応しているのです。

それでも退塾は避けられない。退塾を報告したら上司に責められる。

それでは、塾講師なんてやってられないですよ。

生徒を退塾させないために

わたしは、家庭や生徒から退塾の連絡を受けたら引き止めたり、くつがえそうとしたりはしません。

退塾の連絡を受けてからどうするかでは手遅れです。

生徒を退塾させないためにはどうしたらよいかを普段から考えて、常に手を打っておく必要があるのです。

成績を上げる

家庭や生徒が塾に求めることは「成績を上げること」それ以外にはありません。

つまり、成績を上げてさえいれば、退塾は防ぐことができます。

わたしたち塾講師は生徒の成績を上げることから逃げてはいけないのです。

しかし、生徒の成績を上げることは簡単なことではありませんし、確実に成績が上がる方法も存在しません。

積極的なコミュニケーション

積極的なコミュニケーションというと、多くの塾講師は自分はできていると答えるでしょう。

それは誰とのコミュニケーションでしょうか?

多くの塾講師は対生徒と答えるでしょう。

わたしは、いくら生徒とコミュニケーションがとれていたとしても、退塾は防げないと考えます。

退塾を防ぐには、保護者さんとのコミュニケーションがより重要です。

成績が下がったとき「なぜ成績が下がったのか」その理由を気にする保護者さんかなり多いです。

その説明があるかないかはとても大きな差です。保護者さんから聞かれる前に塾講師側から説明しましょう。

そして、そういうシビアな話を臆せずにできるということは、保護者さんとのコミュニケーションが取れている証でもあります。

どうにもならない理由

わたしたち塾講師は、生徒たちを退塾させないようにあらゆる手を打ちます。

それらが成果に結びつかず、結果として退塾となることもあります。

その場合は、しかたないとあきらめましょう。カレーだって嫌いな人がいるくらいですから。

しかし、わたしたち塾講師ではどうにもならない理由で退塾する生徒が最近増えています。

最近増えている退塾理由

家庭や生徒が急に退塾を決意するわけではありません。

「授業がわかりにくい」「担当教師が変わった」「学費を値上げした」などの何かしらの原因があります。

これまでは、退塾理由が塾側にあることが多かったですが、どうやら最近は別の退塾理由が増えているようです。

子どもの意見を尊重して

保護者さんがお子さんを塾に通わせる目的は何かをもう一度考えなおして下さい。

その目的が「お子さんの成績を上げるため」であれば、子どもの意見を尊重してる場合ではありません。

そもそも成績が低迷している生徒たちは、勉強することを嫌がります。

おそらく、宿題が多い、教師が厳しい、再テストになりまくる、というのが、彼らの負荷になっているのでしょう。

それらが原因でお子さんは塾をやめたいというのでしょう。

でも、それらは成果を上げるためには、避けて通れない道なのです。

保護者さんが必要だと思うのであれば、お子さんの意見を尊重するべきではないでしょう。

友達がいない

塾にいる間中ずっと授業という塾はあまりないでしょう。

授業と授業の間には休憩があります。友達がいないと休憩を苦痛に感じる生徒がいるようです。

確かに学ぶ環境はとても大切なことですが、友達がいるかいないかは含まれるのでしょうか?

もし含まれるというのであれば、留学なんてもってのほかになりますよね?

友達と一緒に留学するなんて話は、これまで一切聞いたことがありません。

友達がいる、いないに気を取られず、自分のやるべきことに集中しましょう。

まとめ

今回は退塾について、わたしの考えを書きました。

家庭や生徒から退塾の申し出があったとき、わたしの決まりごとは

  • 引き止めない
  • くつがえそうとしない

でも、すべての塾がそうしてくれるとは限らない。

その理由は、

  • 生徒数を気にしすぎる
  • 上司に責められる

のように、塾の内部に問題がある場合もあります。

わたしたち塾講師がやるべきことは、退塾の連絡を受ける前に

  • 成績を上げる
  • 積極的なコミュニケーション

などの手を打つことです。手の打ちようのない退塾はあきらめましょう。

最後に、最近増えている退塾理由は

  • 子どもの意見を尊重して
  • 友達がいない

でした。これまでは塾側に問題があることによっての退塾がほとんどでした。

これらの退塾理由で退塾されると、塾としても対応が難しいですね。

塾講師にとって退塾はつらく悲しいものです。

だからと言って、退塾をムダに恐れないようにしましょう。